「新型栄養失調」と呼ばれる、タンパク質やビタミンなどの必要栄養素が不足している新しい栄養失調の症状が増えています。
現代は食べ物が豊富にあると言われる中でなぜ栄養失調という言葉ができるほど、日本人は食事の偏りが起きてしまっているのでしょうか?
なぜ新型栄養失調になるのかその主な原因と日本人に不足しがちな栄養素ご紹介します。また新型栄養失調と診断されたときに心がけたい対処法など、健康的な食生活を維持するためのポイントをご説明します。
新型栄養失調とは?
栄養失調と言えば戦後の日本など、食事がままならない時代の大人や子供たちが発症するイメージがありました。この栄養障害が今飽食の時代に押し入れ人がどんどん増えていると言われています。
実は人は見た目だけで栄養状態が良いとは判断できません。この栄養とはカロリーではなく、必要な栄養素をきちんととっている状態のことを意味するのです。
見た目ではがっしりとしていても実は糖質や脂質が中心で他の栄養素がしっかりと取れていない可能性もあるのです。
このような隠れ栄養失調の状態こそ新型栄養失調です。他にもダイエットなど、偏った食生活や、自炊をしないで同じようなメニューばかりを続けて食べている人なども新型栄養失調を引き起こしやすいです。
新型栄養失調の主な原因
新型栄養失調になってしまう主な原因についてより詳しく見ていきましょう。
新型栄養失調になりやすいリスクが高いとされるのは、20代の若い女性や中年男性そして高齢者です。どうしてこれらの人が新型栄養失調になりやすいのかは原因を知ることで理解できます。
極端なダイエット
若い女性の間で新型栄養失調が増えている理由は、極端なダイエットによる食生活の偏りやカロリーを抑えすぎていることです。
特に若い女性は自己流の食事制限ダイエットをしがちです。例えば極端に糖質を抜いたり、1日あたりの食事量を基礎代謝よりも低いカロリーにしたりと、極端な食事制限をしてしまいがちです。
また食べるメニューもおかしいが中心だったり、ファーストフードだったりとカロリーだけを重視して栄養素を見ていないケースがあるのです。この場合タンパク質やビタミン、ミネラルなどの生きるために欠かせない栄養素が不足している状況になってしまいます。
外食ばかりが続く栄養の偏り
独身の中年男性に新型栄養失調が増えている理由は、外食ばかりが続いており野菜不足が深刻化している関係があります。
近年は外食が便利になり、一人暮らしのうちは自炊をしないという人も増えてきました。特に中年男性は食事の偏りが起こりやすく代謝も低下しています。
すると摂取カロリーだけは足りており、体型もスリムではないもの
の実は栄養バランスが偏った状態になってしまうのです。
色が細くなったことによる栄養不足
高齢者に多い新型栄養失調は、年齢を重ねたことによって食事量が減ってしまうことも深く関係しています。
例えば食欲が低下し、簡単なおにぎりだけお茶漬けだけといった少量の食事で済ましていると言う本来必要な栄養素が取れていない状況になってしまいます。また年齢を重ねた人に多いリスクが、カルシウム不足による骨粗しょう症などのトラブルです。
黄色バランスの偏った結果、褒めや筋肉がどんどん弱まってしまい、転倒による怪我や骨折などの危険性も高まってしまうのです。
日本人に不足しがちな栄養素
新型栄養失調は特定の栄養素が極端に不足している状態です。その中でも日本人に不足しがちな栄養素、意識して摂りたい食材をご紹介します。
タンパク質
現代人で不足しやすい栄養素と言われているのがタンパク質です。現代において食べ物と言えば麺類やと物、ファーストフードといった糖質や脂質を中心としたメニューが中心です。
これらをよく食べていると、どうしても肉類や魚類、豆豆類などを食べる機会が減ります。その結果手軽に食べられる食事をとっていると気づかないうちにタンパク質不足になりやすいのです。本来タンパク質は成人の場合1キロにつき0.8グラムが必要と言われています。つまり60キロの人であれば、1日あたりタンパク質は48グラムが必要です。
これは鶏胸肉200グラム相当する量で、パスタや丼物などを中心にしているとなかなか補えない量です。
手軽に食べられる菓子パンやファーストフードも、あまりタンパク質を多く含んでいないため、お腹は満腹になっても実は必要な栄養素を取れていない可能性があるのです。
このタンパク質不足の怖いところはどんどん筋肉量が減ってしまい太りやすい体質になることです。タンパク質は筋肉だけでなく臓器や免疫細胞を作る上で欠かせない材料です。そのためタンパク質不足で免疫細胞が減ってしまえば、風邪やインフルエンザといった感染症リスクも高まってしまいます。
タンパク質不足を補うには、意識して取り肉を食べたり刺身などの魚、そして豆腐といった大豆製品を意識して摂りましょう。その分糖質を減らすことを心がけおかず中心とした外食に切り替えていきましょう。
カルシウム
ミネラルとは人が生きていく上で欠かせない栄養素であり、主にカルシウムやリカリウムなどがあります。その中でも特に問題視されているのがカルシウムとマグネシウムの不足です。
このカルシウムは骨を作る上で欠かせず、年齢を重ねるほど骨がもろくなってしまうリスクが高まります。本来女性ホルモンのエストロゲンはカルシウムの吸収率を高める働きがありますが、平均後にはこのエストロゲンの分泌自体が極端に減少します。
そのためカルシウムの吸収率が下がり、意識してカルシウムを取ろうとしなければ骨粗しょう症の原因につながってしまうのです。
カルシウムは牛乳やヨーグルトといった乳製品に多く含まれています。また魚にもカルシウムが多く含まれているため、意識して取るようにしましょう。
マグネシウム
マグネシウムをカルシウムと同じくミネラルの1つです。このマグネシウムは玄米などに多く含まれていますが現代人の主食である白米や食パンなどにはその4分の1程度しか含まれていません。
マグネシウムは普段の食べ物であまり摂取できないため、意識してサプリメントをを取ったり玄米を食べたりする必要があります。
ほかにもマグネシウムはカルシウムと一緒にとることが大切です。
ビタミンA
ビタミンAはニンジンをはじめ、緑黄色野菜に多く含まれています。
ビタミンAは皮膚や粘膜などの健康維持に役立つうえ、がんの発症抑制など健康維持に欠かせない栄養素です。
特に脂溶性のため、油と一緒にとることで吸収率が高まります。生よりも10倍も異なるため、野菜炒めにするなど加熱しましょう。
ほかにも豚や鶏のレバー、うなぎにもビタミンAは豊富に含まれているため、意識してとりましょう。
ビタミンB1
ビタミンB1は炭水化物をエネルギーにする際に必要な栄養素です。
また、神経の機能をサポートする働きもあるため意識してとりたい栄養です。主に豚肉や大豆に含まれており、糖質中心のメニューだと不足しやすいため注意しましょう。
ほかにも玄米に豊富に含まれているため、精米していないぬかや胚芽を意識してとることをおすすめします。
新型栄養失調の対策3選
新型栄養失調は、栄養バランスを意識して無理なく継続することが大切です。
必要な栄養をとって、新型栄養失調を予防するためにできる対策をご紹介します。
朝食をしっかりととる
新型栄養失調は食事を抜く回数が多いほど、栄養バランスが偏る可能性があるため注意が必要です。
特に朝食を抜く現代人は多いですが、3食バランスをよく食べましょう。
朝は食欲がない人も、野菜スープなど食べやすくいろいろな食材が入ったメニューがおすすめです。あっさりと食べられるうえ、数日分をまとめて作れるのです。
また、朝食を食べれば内臓も温まるため、消化促進につながります。
サプリメントに頼りすぎない
サプリメントをとっているからと言って、食事メニューのバランスがとれていないと結果的に栄養不足につながります。
サプリメントでビタミンをとっているため、野菜をあまり食べないことは食物繊維などをきちんと摂取できません。
そのため、サプリメントをとることも大切ですが、普段から食事の栄養バランスを意識して、主食だけでなく副菜や汁物などでいろいろな食材を食べましょう。
必ず丼ものにはサラダを添えるなど、栄養バランスを少し意識するだけで新型栄養失調対策になります。
間食で栄養を補う
一度に食べる量が減ってしまう療養中や、シニアの方は間食をうまく挟んで栄養を補いましょう。
特に普段の食事で不足しやすい良質な脂質やタンパク質は、ナッツや豆類がおすすめです。
また、ヨーグルトなどヘルシーながらもタンパク質がとれるうえ,フルーツと組み合わせられるスイーツは栄養バランスがよく、食欲が落ちているときでも比較的食べやすいところが魅力です。
乾燥わかめといった食物繊維をとれる食材を間食に取り入れることもおすすめです。適度な間食は栄養をゆっくりと吸収できるうえ、一度に大量の食事をとるリスクが低いです。
まとめ
食事バランスを意識していないと、外食やファーストフードばかりだとどうしても栄養素がかたよってしまいます。
それを放置すると新型栄養失調になってしまうリスクがあります。
新型栄養失調は自覚が少なく、だるさやめまい、イライラといった諸症状で気づくケースが多いです。空腹を満たすだけでなく、飽食の時代だからこそ何を食べるのか選ぶことが大切です。
某薬局の薬剤師です。